産後の女性というのは、多かれ少なかれ骨盤の歪みを抱えているものです。その理由はもちろん、出産によるものです。
妊娠中から産後にかけて、女性の体内ではリラキシンというホルモンが分泌されます。これには全身の関節をやわらかくする働きがありますが、それによって骨盤もやわらかくなり、出産に備えることができます。赤ちゃんが大きくなるにつれて、子宮から外に対する圧も上がっていきますが、ゆるくなった骨盤はこれによって容易に開き、出産時にその開きは最大となります。そうして無事出産ができるというわけです。
産後の骨盤は3カ月ほどかけて徐々に改善されて行きますが、緩んだ状態は継続しており、そのため日常生活の中で悪い姿勢を取ったり、育児による体への負担などから歪んでいってしまうのです。骨盤の歪みは出産時でなくとも姿勢の悪さなどから起こり得るものですが、出産時の場合はその比ではなく、放っておくと下半身太りやO脚・X脚といった美容上の悩みだけでなく、便秘や頭痛、生理痛、尿漏れといった深刻な健康上の悩みも抱えてしまうことになります。さらに腰痛や股関節痛から歩行が困難になったり、内臓下垂や坐骨神経痛などを引き起こすこともあります。

産後の骨盤の歪みには個人差があり、必ずしも問題とならない人もいますが、中には程度がひどく、健康を害する恐れがあるため早急に矯正をする必要がある人もいます。自分で簡単にチェックできる方法がいくつかあるので、ぜひやってみましょう。
まず、一番簡単なのは目を閉じて両手を広げ、片足立ちする、という方法です。右足、左足とも試してみて、ふらつかずに10秒以上立っていられるかどうかをチェックしましょう。もしどちらかが10秒以上もたなかった場合、たとえば右足で立ったときにふらついたり元の位置から大きくずれるようであれば、右側の骨盤に歪みがあることになります。
また、かかとをきちんと揃えて仰向けに寝たときに、左右どちらかの足首から先が大きく外に開いていれば、そちら側の骨盤が歪んでいます。あるいは足をのばして仰向けに寝たときに膝の高さが違っている場合も、やはり骨盤が歪んでいることになります。仰向けに寝た状態で脚を腰ぐらいの幅に開き、左右それぞれに骨盤の一番高いところに親指を、床に中指をつけて床からの距離を測る、という方法もあります。左右で高さが違っていれば歪んでいます。
これらの方法はあくまでも目安なので、気になるようであればすみやかに専門家の診断を受けましょう。